ピアノの先生からのご相談です。
【質問】
この春でピアノ講師2年目です。
楽器店の生徒で手を焼いている生徒がいます。
5年生の男の子です。
突然何かと戦いだす。
→座ったままジェスチャーと効果音で戦う
質問に答えてくれない。
→何組になったの?、150。
→何のアニメが好きなの?、テレビ
ネコ踏んじゃったばかり弾く。
→やる事をやったら弾いていいと言ってもそればかりしか弾かない。
床に寝転ぶ。
隅に座る。
爪をむしる。
5年生の男の子の発達として定型なのでしょうか?
引き継いだ時は、少し幼い生徒さんですとしか言われていませんでした。
発表会では固まってしまって音を出す事ができなかったようで出ていません。
会話が成り立つ時もありますが、大体が成り立ちません。
おばあちゃんの送迎のため親御さんとはほとんどお会いする機会もなく困っています。
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【回答】
落ち着きの無さから、ADHDのような感じですね。
親御さんはお忙しいのか、あまり面倒見てないのかもしれません。
質問ばかりすると尋問されてるように感じてるかもしれません。
質問の仕方も開かれた質問と閉じられた質問というのがあります。
「何のアニメが好きなの?」
→開かれた質問
その子にしか答えようがないような質問です。
「アニメが好きなの?」
→閉じられた質問
イエスかノーで答えられる質問
どちらがいいか悪いかではなくて、両方を意識して使い分けてみてください。
イエスかノーで答えられる閉じられた質問をしてみて反応見るとよいかもしれません。
「アニメが好きなの?」
↓
「うん、好き」
↓
「どんなの見てるの?」
(開かれた質問)
あるいは「先生は○○ってアニメよく見るよ。」とか。
その子が好きなアニメのテーマを即興で弾いてあげるとかどうでしょう?
「ネコ踏んじゃったばかり弾いてるけど、好き?」
↓
「好き、他の曲はあんまり好きじゃない。」
↓
「他の曲も素敵な曲、面白い曲あるから好きになって欲しいな。」
「こんなのは好き?」と言って、「ゴリーウォークのケークウォーク」とか弾いてみせたらどうでしょう?
楽しい動きのある曲ですから、興味持ってくれるかもしれません。
ドラマ「のだめカンタービレ」観たことがおありですか?
のだめちゃんがピアノの先生に叱られ、殴られたこと。
自身を否定されたことでレッスンが嫌いになってしまいます。
それで彼女は「おなら体操とかを弾くようになります。
よかったら1度ご覧になってください。
何かを無理矢理やらせようとしても多分出来ないし、やらないと思います。
かえって良い結果は出ません。
ほんの少しでも頑張ったら誉めてあげてください。
課題も小出しにしていただいて、スモールステップで達成出来たら誉める。
プレッシャーに弱いのであまり厳しい場面に置かないことです。
自己肯定感も低いかもしれません。
とにかく認めて誉めてあげること。
課題は少なめ、その子にとっては無理のない程度でほんの少し階段を上がるような課題にしてあげてください。
「やることをやったら好きなの弾いていいよ」と言いつつ、ネコ踏んじゃったばかり弾いてることを否定されてます。
これは非常にマイナスです。
言葉にせずとも態度に出るので伝わりますし、そうした子どもたちは敏感に感じとりますから、気をつけてください。
小原孝さんの「ねこふんじゃったスペシャル」というCDがあったのですが、お聴きになられたことありますか?
あなたはピアノのプロですよね?
「ねこふんじゃった」を即興でアレンジして弾いて見せたらどうですか?
多分、喜びますよ!
超高速ねこふんじゃったとか、スローねこふんじゃったなんか弾いて聴かせて、「速さを変えることをテンポを変えるって言うんだよ~。今のはメトロノームでこれくらい。」という感じに教えると「テンポ」という言葉を覚えてくれるし、テンポを変えることで印象が変わることも教えられます。
短調と長調で弾いてみせて、「何が違う?」って質問したら「暗いのと明るいの」って答えるでしょうから、「暗いのを短調、明るいのを長調って言うんだよ~ってな具合で私なら指導します。
「明るいのと暗いのだったら、どっちが好き?」と聞いたら、発展しますよね?
「明るいのが好き!」と言うなら、モーツァルトのソナチネとか弾いてみせて、「これは好き?」とか質問してみてください。
それで「作った人はモーツァルトって言うんだよ。」
スケール出てきますよね。
「音階って言うんだけど、ちょっとこれだけ練習してみようか?」みたいな感じでやればいいんじゃないでしょうか。
1回のレッスンであれもこれも欲張って教えないのがいいです。
親や先生は欲張ってしまいますが子どもにとっては煽りでしかありません。
煽り運転事故の元です。
1回のレッスンで1つだけ今日は絶対にこれは教えて、これは身に付けてお土産に持たせるという気持ちでいるとよいですよ。
そしてその課題は繰り返しますが、その子にとっては無理のないほんの少しのステップにすること。
出来たら誉めること。
「今日は○○出来たね。」
もし可能だったら、無理しなくてもよいですが、「今日はこれ教えてもらって出来たんだよって、お父さんお母さんに弾いてみせてあげてね。」と言ってみたらどうでしょう?
親子さんも子どもを誉めてもらえると嬉しいものですし、何より子どもを大事にしてくれたと思ってくださることは先生への信頼感になり、たとえ発表会で演奏出来なくても批判してこないものですよ。
私は元中学校音楽教師で今はカウンセラーもやりつつ、塾講師もしてます。
塾では目を話さずに手を離すようにしてます。
見守ることの方が多いです。
そして頑張りを認めて誉めてあげてるだけです。
こちらは見てるだけでも親御さんから「先生は教えるのが上手いと聞いてます。」と何度も言われました。
教えてないんですけどね。
落ち着きのないのは居心地悪いからだったりするかもしれません。
でもあなたが認めてくれて、誉めてくれて、否定をしないで温かく見守ってくれていたら、安心感・保護感が得られて、落ち着いてくると思います。
欲張らないでください。
あなたに合わさせるのではなく、その子にあなたが合わせてあげてください。
長くなってスミマセン。
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