【質問】
マーチングやってる学校にはマーチング用の楽器があります。
マーチングのない学校にもマーチング用の楽器を買ってもらえたら、マーチングが出来るようになるのではないか?
吹奏楽部のない学校に楽器を買ってもらえたら吹奏楽部が出来るのではないか?
楽器のない中学校に小学校や高校からあげられるのではないか?
回せばいいのに…
各学校に均等に楽器を買ってもらえないのか?
不平等だと思います。
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【回答】
残念ですが、それはほぼ無理な話です。
理由①
市立と県立では予算の出所が違うので、それは無理です。
同じ市立であっても小学校と中学校では備品の購入のための予算が異なります。
ここがめちゃくちゃお役所的なんだけどね。
同じ市の市立の中学校では予算配分つまり楽器の購入にあてるお金の分配が均等になるようには出来ます。
でも生徒数に応じたものとなるので、全校生徒数が少ない学校には少ない予算しか与えられません。
理由②
各学校に与えられた予算で事務の先生が今年度までの予算と各教科や各係の来年度の備品費や修繕費の要望とを付き合わせて、検討し、教務会へ諮って、更に職員会を経て決定し、市に要望を出します。
あくまでも学校全体での予算請求なので、吹奏楽部の要望ばかりを聞いているワケにはいきません。
私が勤務した各学校ではどこも同じように部活動の備品購入はおろか、修繕費などもほとんどない学校ばかりでした。
と言うのは部活動は課外活動なので、本来なら学校がやるべき活動ではないからです。
部活動=課外活動=本来は教員の業務ではない=学校がサービスでやっていること
なのです。
だから、予算付けがされません。
その上、その少ない予算を学校にある部活全部で均等に分けます。
均等にというのはたいてい部員数に応じたものとなります。
私が勤務したある学校では部活動の予算は市からの分配金には含まれず、学校のPTA予算からでした。
なので年間で1万円なかったように思います。
では備品の購入はどうしていたかと言うと
「音楽科の備品購入」として請求していました。
でもここにはテレビやDVDプレーヤーやスピーカーの購入とか、オルガンやキーボードなんかも含まれます。
市町村によりますが、1~3万円の物は備品として扱われます。
それ以下は消耗品扱い。
だから、音楽の授業で使われるものが優先されます。
またここで問題なのが音楽の先生が二人以上いる学校の場合です。
教科会という会議をして、欲しいものをピックアップして備品購入希望のリストを作ります。
合唱部顧問の先生と吹奏楽部顧問の先生の二人が音楽の先生だと合唱部で買いたいものも含めなくてはならないので、やっぱり吹奏楽部の要望ばかりを聞いているワケにはいきません。
それから音楽の先生がお一人だったとしても吹奏楽経験がなくて吹奏楽部にあまり気持ちが向いてない先生だと吹奏楽部の楽器を購入しようとは考えたりしません。
たとえ吹奏楽が大好きな音楽の先生であっても他にデスクオルガンを買わないといけないとか希望があると授業で使うものを優先せざる得ません。
仮に吹奏楽部の楽器購入の希望を出しても職員会で他の教科との折り合いで削られるのがオチです。
めちゃくちゃお金のある自治体で学校にたくさん予算をくれるところでも1つの楽器がその年度の予算で買えたかどうか?でしたよ。
具体的には単年度で30万円程度の物が買えたかどうか?
と言うことは1つの楽器しか買えないワケ
そうなるとトランペットとかクラリネットとかを買うワケにはいかず、打楽器や大型楽器を優先せざる得ません。
それも30万円くらいで買えるものとなるとせいぜいバスドラムとかティンパニ1つとか買えるかどうか?
その予算ではバリトンサックスとかバスクラリネットは買えません。
たとえ音楽の先生が吹奏楽部のことを優先してくださっていても、校内の他の教科の先生たちとの力関係もあるし、他の活動に必要なものとの配分もあります。
事務の先生の考え方にもよります。
たいていは前年度の実績に応じたものになります。
しっかりした学校だと複数年度で備品費の割り当てを変えてるので、2年後には楽器を購入出来るとか、今年は音楽科で楽器を買ったので来年度はナシとかやってるところもあります。
まあ読んでもらえば、わかると思いますが学校予算で備品を買うのはまず無理だということ。
お金のある自治体
たいていは町です。
市ではまず無理な話
でしかも事務の先生のご理解があって、吹奏楽部の顧問が音楽の先生でなおかつ吹奏楽に思い入れのある先生でないとなかなか買っては貰えません。
理由③
最近は部活動に時間をかけない方向へ全国的に動いています。
運動部は社会体育へ移行する方向へ進んでます。
先生たちも部活動の時間を減らせ~と組合などで訴えています。
その上、吹奏楽部はブラックだと言われていますから、やり玉にあげられます。
今後、部活動は減ることはあっても増えることはまずありません。
やりすぎの吹奏楽部
金かかって大変な吹奏楽部
まず一番最初に潰されます。
学校予算が回されることはまずないでしょう。
だから楽器は買えません。
理由④
吹奏楽の強い学校がなんで新しい楽器を買えるのか?
寄付があるからです。
寄付は学校予算とは別です。
その学校やその部活動で使って欲しいというお金ですから、他校が使えるワケがありません。
その学校の備品費で購入したものと吹奏楽部への寄付で購入したものとでは扱いが違ってきます。
備品台帳っていう書類で管理してるんですよ。
極端な場合、寄付で購入した楽器は備品扱いにならないので、学校の修繕費で直せないこともあります。
当然ですが、その学校の吹奏楽部へ寄付された楽器ですから、他校にあげるワケにはいきません。
理由⑤
市町村の予算で購入した楽器を他校に動かすにはいったんその楽器のある学校の備品台帳から外さなくてはなりません。
廃棄扱いにするしかありません。
ここがまたお役所的なんだな。
備品のシールがケースなんかに貼ってあるハズですよ。
だから、おいそれと他校にあげるワケにはいかないの。
裏技としては廃棄してプレゼントしちゃうことも出来なくはないんだけど、お金を懐に入れて不正を働いていると思われかねない行為なので難しいです。
【まとめ】
なので他校から借りるという方法が現実的だし、おそらくそれしか出来ません。
寄付や少ない予算で買っていただいた大切な貴重な楽器を他校がうちは楽器が足りないからくださいって言っても、じゃああげるわとはいかないのです。
あなたの言ってることは気持ちはとてもよくわかるけれど、不可能だと思った方がいいです。
楽器を買ってもらえても年度に1つ
それも打楽器や大型楽器が優先
だからトランペットやクラリネット、アルトサックス、トロンボーンあたりは個人で買ってもらうことになります。
中高生風に言えば、マイ楽器にしてもらうしかないの。
残念だけど、諦めて。
使いたかったら、借用書を顧問と校長名で書いてもらって、顧問からその学校へお願いして、お借りしてもらうこと。
楽器を買ってもらえる学校は顧問が力のある素晴らしい先生なんだよ。
それからやたらと高価な楽器は買えないから、学校の備品の楽器がボロくても大事に使わないといけないんだよ。
あなただけが使うわけではないから。
代々の先輩たちが想いを込めて大切にしてかたものだから、テキトーに扱わないでくださいね。
長野市は昔、教育長がとても理解があって、各学校に均等に楽器を入れてくれました。
その頃は長野市はとても吹奏楽部強かった。
松本市はやはりサイトウキネンフェスティバルが大きいです。
中学校の吹奏楽連盟で各学校の吹奏楽部の顧問の先生たちが団結して話し合って、欲しい楽器のリストアップと各学校の備品の状態をリストアップして、一致団結して松本市に要望を出しました。
その時、私もいましたが、尊敬するとO先生とK先生がとても頑張ってくださったことが大きいです。
5年計画で各中学校に新しい楽器を入れていただきました。
更にフェスティバルの歓迎吹奏楽パレード実施のためにその5年計画と別にマーチング用の楽器購入のお願いをしていただいたんです。
そのおかげで松本市はとても吹奏楽が盛んになり、コンクールでも結果が出せるようになりました。
まあ他教科の先生たちからは音楽科のせいで自分の教科の備品が買えないとかなり不評で睨まれました。
箕輪町ではご寄付をいただいて、たくさん新しい楽器を買っていただきました。
茅野市立東部中学校では比較的、新しい学校でしてので備品の楽器がわりと揃ってましたがちょうど買い替えが必要な時期にかかってましたけど、予算がなかなか取れませんでしたし、部活動が縮小方向に全国的に進み出した頃だったので難しかったですね。
だから、吹奏楽をやるのは本当に大変なことなんです。
とても贅沢なことなんです。
目の前の楽器
大事にして欲しいと思います。
おいそれと簡単には買えないし、何より代々の先輩たちが大切にして、頑張ってきた証なの。
しっかり受け継いでくださいね。
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