吹奏楽コンクールの選曲
- 菅井秀樹
- 2019年1月7日
- 読了時間: 6分
更新日:2019年2月8日
年末にたくさん質問で
「コンクールの自由曲を決めたいのですが、良い曲はありませんか?」とか
私たちの学校はこれこれこんな編成なんですけど、コンクールの曲でオススメの曲を教えてください。
なんて質問が本当にたくさんありました。
そこで私は「今からコンクールの曲やるの?」
「それよりも基礎練習しなさい!」と書きました。
「もっというと今は仲間づくりも大事」とも
コンクールばかりに気持ちがいってることが大変、残念でなりません。
仲間がいて仲間と合わせるから、その中で自分の音も生きるから吹奏楽は愉しいのです!
コンクールで勝てるから愉しいのではない!
負けた学校はどうなの?
負けた学校は3年間無駄な努力をしてきたのでしょうか?
コンクールは目標にしてもよいと思います。
でもコンクールを目的にしないでください。
音楽する愉しさはそんなことではありません。
仲間と音楽すること。
その日、その時のメンバーでしか味わえない喜びがあります。
「隣の学校は敵だ!」
「打倒○○中学校」
なんて言わない。
高校ではその学校の子と一緒にやるかもしれないじゃん。
音楽って個性だから!
選曲でもそうです。
自分達が出来る曲で選ばない!
○自分達の良さが伝えられる曲
○この曲だったら自分達がイキイキ演奏出来る曲
○取り組んでみたら上達出来そうな曲
そんな風に考えて欲しい!
だいたい審査員は曲に賞を付けるのではありません。
まあコンクール向きの曲とか、コンクールで評価されやすい曲はあります。
「早くから半年前からコンクールの曲に取り組めば、楽譜をしっかり読み込めて、吹けないところがなくなって、表現も上手に出来て金賞取れるだろう」
って普通は考えますよね?
私もかなり長いこと、そう考えて早め早めにコンクールの曲に取り組んだものです。
でもとあるプロのトランペット奏者でバンド指導者の方
それから作曲家の先生
などコンクールでよく審査員をされる方からお話を聞いたのですが、どれも脳天にカミナリが落ちたような話でした。
「コンクールでは審査員は表現とか解釈なんてのは全く聴いていない。」
ガーン😱でした。
今までの努力はなんだったんだぁ~❗
私の青春を返せ~❗
輝くトキメキを戻せ~❗
みたいな。(笑)
実はそうなんですよ。
自分もその後、地区大会ですけど審査員やらせていただいてから、わかってきたことなんですが審査員は何を一番基準にして聴いているかと言うと
あのね…
本当はナイショなんだけどね…
これを読んでくれてるあなただけに…
コッソリね…
「審査員は全体のサウンドを聴いています」
サウンドの美しさなんです。
だから、1つ1つのミスはあまり気にならなかったりするの。
前にも書いたのですが、ミスを連発してたりしたら、もちろんダメだし、不注意で非音楽的なミスをしてたらダメです。
でも音楽的な表現とかしようとするあまり勢い余ってやってしまったミスならば、あんまり気にならないものなんです。
「俺もやるよなぁ」で終わるの。
そんなことよりも個々の楽器がしっかり芯から鳴っていて、それが全体でよく調和されて美しいサウンドになっていることが重要なのです。
すっごい悪口になってしまいますが、関東の全国大会常連の甲子園でも有名な某私立高校の演奏を何度か生で聴いたのですが…
ぶっちゃけ
曲が変わっても味付けが全く変わらない。
毎年同じような演奏に聴こえる。
どれも同じような曲に聴こえる。
ラテンやったらノリが悪くて下手っくそ。
「なんじゃこりゃ」でした。
でもコンクールになると毎年、全国大会で金賞取れる。
金賞取るコツ、コンクールで勝つためのコツを指導者が掴んでるからなのです。
残念ながら、音楽的にはツマラナイんですよ。
またか。
聴かなくても演奏が想像できちゃうんですね。
私はあの学校の演奏を聴いてから、コンクールへのこだわりが消えました。
中部地方の強豪校も似たようなものでした。
ただテレビでも有名になった関西の某高校
生で聴いたら、ここはとても良かった。
やっぱり全国大会常連なんですが、技術面だけ見たら、そんなに上手くない子もいるし、そんなに上手くない部分もあるんですよ。
やっぱり高校生だな、アマチュアだなぁと思うんですが、全体のサウンドが素晴らしい❗
個々の楽器がしっかり芯から鳴っていて、バンド全体もしっかり鳴ってるんです❗
さっきの中部地方の高校もC県のN高校なんか綺麗なんだけど、なんか削って削って、抑えて抑えて綺麗に聴こえるようにしてる感じ。
だから、上手いけど、こじんまりしてるし、音楽のスケールが小さい。
でも、そのY高校
めちゃくちゃ鳴るんです。
それも力んでない。
だから、倍音が豊かですごい美しいサウンドなの。
しかも生徒たちの顔が愉しそうだし、イキイキしていました。
それに比べたら、最初に書いたJ高校
生徒さんたち能面みたいな無表情で演奏中は修行してるみたいだったなぁ…
そのY高校
クラシックの名曲は見事に吹くし、ポップスは思わず、聴いてるこちらも乗せられちゃう。
この子たちは単に長く練習してるんじゃないなぁ。
素晴らしいと思いました。
この学校がとても大事にしていたのは基礎練習それもロングトーンなんですよ~❗
とにかくロングトーンやってる。
それしかやってないんじゃないかと思うくらい。
これは美しいサウンドづくりには欠かせないからなのです。
だから、冬場のオフシーズンは基礎を磨くこと。
1人1人が芯から鳴っていないのに曲だけ取り組んだところで、夏のコンクールで結果が出せるワケがないのです。
ラグビーの言葉
All for one. One for all.
みんなは1人のために
1人はみんなのために
これが吹奏楽でも当てはまるんですよ~❗
1人が活きなくては全体が活きることはないんです。
選曲に話を戻すと
極端な話、曲はなんでもよいのです。
コンクールで負けて、審査員が全く表現なんか聴いてないことを知った時の私は怒りはもう凄まじいものでした。
「こんなものは音楽ではない❗」
そう思いました。
全体のサウンドが美しく聴こえたら金賞
ならば、曲なんか何でもよいワケだ。
だったら、コンクールなんか意味はない。
ぶち壊してやろうと思って、翌年の自由曲は普段、毎日やってるバンドメソッドの音階練習とかバランス練習とかにしてやろうって本気で考えましたね。f(^^;
「○番、○○中学校 課題曲Ⅱに続きまして、自由曲はバンドメソッドより基礎練習、指揮 菅井秀樹」ってね。(笑)
曲は何でもよくて、サウンドが美しく聴こえたら金賞なら、抗議の意味で基礎練習で金賞取ってやろうとまで考えたのでした。
でもふと我に返り
生徒がそれではあまりに可哀想だなと思ったんですね。
それで夏のコンクールは普通に選曲したのですが、この時にムキになって基礎練習やったおかげで1人1人が楽器をしっかり鳴らせるようになりました。
そしたら、見事に地区大会は金賞で代表、県大会でも上位でした。f(^^;
だから、基礎練習大事です。(笑)
いやいやホントに❗
でも自由曲を基礎練習にするわけにはいきません。
だから、選曲では曲の良し悪しも当然ありますが、一番に自分達の良さが伝えられる曲を選んで欲しいのです。
自分達の持ち味が出る曲
これを頑張って練習したら、もっと自分達が上手くなりそうな曲
吹いていてイキイキ出来そうなやりがいのある曲
長いところで今から秋まで毎日やるんですよ。
それなりに厭きがこなくて、自分達の成長が日々実感できる曲
そんな曲に出逢えたらいいですね。
一生の想い出です。
大人になると
「あなたも吹奏楽してたの?」
と吹奏楽やってた人は意気投合
必ず訊くのは
「課題曲なんだった?」
もうこれで盛り上がっちゃうんです。
歳も課題曲が何だったかでバレちゃうんですけどね。(笑)
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