前回のブログで基礎練習が大事なことを書きました。
ではどんな基礎練習をしたらよいか?
答えは1にも2にも「ロングトーン」練習です!
なぜロングトーンでの練習が大事なのかというと・・・
1 自分の状態のチェックが出来る。
①正しいフォームで出来ているかの確認
②自分の体調のチェック
病気の時は当然、上手く吹けないものですが、身体と心の状態が健全でないと音に
現れます。
特にメンタル面(心の不調)は自覚がない場合があります。
でもメンタル面の不調も音には素直に現れます。
よくわからないときは是非、ストレスケアカウンセラーでもある私に相談してくだ
い。
ストレスをグラフ化・数値化して目で見てわかるように説明します。
③アンブシュア・アパチュアの確認
正しい口・唇の形で吹けているか?鏡で確認しましょう。
2 楽器の状態のチェック
楽器自体に不具合があるといい音は出ないし、音程が悪かったり、場合によっては全く
音が出ないことがあります。
そんな楽器の異常にいち早く気がつくためにもロングトーン練習を毎日、短時間でもや
っていると「あれ?昨日より息が入らないなあ」とか「昨日より音程が低いなあ」と
か不具合がすぐにわかります。
気がついたら、朝のうちに先生に伝えられるし、木管ならバネが外れているだけだった
らすぐに直せますし、他の問題でも楽器店で直してもらえるようにお願いできますか
ら、後で演奏中に重大な問題になりにくいものです。
3 楽器を芯から鳴らせるようになる。
息の出し方がわかってくるようになるので、自然な呼吸が身について、力任せに喉を詰
めたり力んで吹かなくても楽に音が出せるようになります。
息を吹き込むことで楽器も鳴りやすくなってくるのです。
初心者向きの安い教育モデルの楽器は息が入りやすいため、音がよく出ます。
こういうのを「抵抗感がない」と言うのですが、息がすぐ入って、音が出やすい楽器は
音程が悪かったり、音色が安っぽかったりします。
よく中学生なんだから、8万円くらいの一番安いのでいいんじゃない?って言われる
んですが、安い楽器はやはりそれなりなんですよ!
その辺の事情についてはまた別に書きますが、「耐久性がない」ことと「音程と音色に
難がある」ため個人の趣味で楽しむ分には問題がなくても、毎日ハードな練習をする吹
奏楽部には耐えられなかったり、『合奏には不向き』であることが多いのです!
そこである程度の金額を出して、コストパフォーマンスに優れたモデルや3年生になっ
た時や高校生になった時のことも考えて、上位機種を買われる方が多いのですが、その
辺りの機種はやはり「抵抗感」が初心者・初級モデルよりもありますから、新1年生に
は初めから音が出せなかったりします。
ですから、毎日慣らし運転が必要になります。
クラリネットなんかは新品を買って、いきなりガンガン吹くと割れてしまうことがある
ので、1ヶ月程度は慣らし吹きが必要です。
そういう意味でもロングトーンで息を入れて楽器を鳴らす練習が大切になります。
ロングトーンで全ての音で息が入るようにしておくととてもいい楽器になってくれます
し、あなた自身も素晴らしい奏者になれます!
O市のY工業高校は全国大会常連、しかも毎回、金賞の常連校ですが、テレビ番組でも
取りあげられていましたけれど、M谷先生は明けても暮れてもロングトーンで音階練習
をさせていました。
前にも書きましたけれど、この学校はひとりひとりが芯から楽器を鳴らしているんで
す!
だから力任せのただデカいだけの音ではなくて、個々の楽器がしっかりなるとお互い
が共鳴するようになるから、チューニングの音は簡単に合うし、倍音が鳴るのでバン
ド全体が豊かな響きなるんです!
そうなると審査員は「全体のサウンドの美しさ」を聴いていますから、金賞間違いなし
ですよ!
4 慣れてきたときの振り返りが出来る。
変な癖がついてないかどうか確認を時々することで、常に安定した演奏が無理なく出来
るようになります。
5 楽器を購入するときに基準になる。
楽器を購入する際に各メーカーの特徴やモデルの個性を判断するには試奏するのが一番
ですが、ロングトーンで音階を吹いてチェックすることで、楽器の不具合に気がつきま
すし、音程の良さや音色の確認が出来ますし、低音が鳴りやすいとか、高音が鳴りやす
いとか楽器の特徴にも気がつきやすくなります。
好みの楽器を選ぶ基準になります。
6 クレッシェンドやデクレッシェンドの練習が出来る。
クレッシェンドは小さい音から、少しずつ息を入れていき、音をだんだん大きくします
がゆとりを持って吹けるようになります。
逆にデクレッシェンドは大きな音から、だんだん小さくしていきますが、支えがしっか
りしている状態で息が安定して入っていかないと変なビブラート(チリメンビブラー
ト)になりがちだし、最後まで息が続かなくなります。
同様に非常に小さな音Pで吹くには支えが必要です。
フォルテはリラックスして吹けばよいのですが、ピアノは緊張感を持って、しっかりし
た支えで息をたくさん使って、安定した音で吹けなくてはいけません。
そのための練習としてもロングトーン練習は有効です!
7 フレーズを一息で吹けるようになる。
音楽の最小単位は2小節です。これを「動機」と言っています。
有名なベートーヴェンの運命交響曲の動機(テーマ・主題)はジャジャジャジャーンで
すが、2小節です。
この動機が2個くっつくと4小節となり、日本語では「小楽節」、よく使う言葉だと
「フレーズ」になります。
実質的にメロディーは4小節が一番小さいまとまりになります。
ひとフレーズを一息で吹ける。
メロディーを余裕持って吹き上げる。
それには4小節息が続かなくてはいけません。
先生達が「息が続かなかったら、2小節ずつ息をしてもいいよ。」と言うのは音楽の最
小単位だから。
「出来たら、4小節一息ね。」と言うのはフレーズのまとまりが4小節ごとだからなの
です!
4分の4拍子で4小節ということは16拍ですよね。
だから、どこの学校も8拍のロングトーン(ロングトーンのうち入らないけど)と
16拍のロングトーンの練習をするのです。
「全てに理由があります!」
大事なことはそれをわかって練習しているかどうか?
わけもわからずにコンクールで勝てれば良いと練習時間ばかり増やしていてもダメで
す。
8 ロングトーンでの音階練習は次のスケール(音階)練習やリズム練習に繋がります!
ロングトーンで音階が吹けるようになれば、スケールは指が回れば良いだけの話。
リズム練習は長く吹いていた音を分割するだけの話
つまり金太郎飴みたいなものです。
だから、どこの学校でも基礎練習で①ロングトーン→②四分音符→③八分音符→
④16分音符→⑤三連符 みたいな練習してないですか?
長い音でしっかり息を吹き込んでおいて、それを細かく輪切りにしているだけだからで
す。
9 音程や音色をつくるために!
管楽器は作音楽器です。
調律師が音を合わせてくれるピアノとは違って、自分で音程を作っていかなくてはなり
ません。
正しい音程をつくるためにロングトーン
ロングトーンで半音階(クロマティックスケール)を吹いていくことで音と音の正確な
幅を身に付けることが出来ます。
「音程」とは「幅」です。
半音の幅、一音の幅をロングトーンで確認しましょう。
美しい音色で吹くためにもロングトーンです!
こう書いてくるとロングトーン練習っていいことずくめでしょ?
さてそのロングトーン練習、実際にどうやっていくか書きます。
1 初心者はまず開放から
どのキーやピストンも押さえずにまずは姿勢やアンブッシュア、呼吸を考えながら、
出しやすい大きさで遠くを見ながら、そこへ音が届くように♩=80くらいで4拍真っ
直ぐに伸ばしてみましょう。
開放は一番楽器に抵抗がなくて、息が入りやすいです。
この時に音が揺らがない・震えないこと。
同じ太さで真っ直ぐ吹くことが大事です。
もう一つ注意ですが、4拍吹くには「1・2・3・4・5」と5まで数えて息を止めて
ください。
4で止めると3拍分しか音が伸びてません。
2 4拍出来たら。8拍→16拍と長くしていく。
テンポを♩=80で出来たら、♩=72とか♩=60でやってみてください。
♩=60で16拍伸ばせる人はなかなかいません。
私が初任の頃にまるっきり吹奏楽の指導をしたことがない先生が近くの学校の顧問にな
られたのですが、その学校はめちゃくちゃ音が鳴っていました。
不思議に思って、顧問の先生に聞いたら、毎日朝練習で♩=60で16拍のロングトー
ン音階練習してるというのです。
確実に死にますけれど(笑)
出来るようになったら怖いものなしです。
3 開放で出来たら、次はチューニングの音「B」で
チューニングの音が真っ直ぐ吹ければ、ピッチは合います。
これ出来ないと話にならないよ。
4 実音「G」の音でロングトーン
実音Gは吹奏楽で使われる管楽器で一番鳴りにくい音だからです!
これがしっかり鳴らせるようになれば最強バンドの出来上がり。
実音Gとは
フルート・オーボエ・ファゴットは「ソ」
クラリネット・トランペット・テナーサックス・トロンボーン・ユーフォニウム・
テューバは「ラ」
アルトサックスは「ミ」
ホルンは「レ」
です。
また書きますけど、ドイツ音名覚えてくださいね。
5 全てのトーンホールを閉じるキーを押さえて最低音でのロングトーン(木管)
※新品の楽器はいきなりやらないこと。
※冬場はいきなりやらないこと。 温度差で割れる原因になります。
最低音がしっかり鳴らせられたら、もう怖いものなし!
だって一番、抵抗が強い状態で息が入るんだから・・・。
スケール(音階)練習の前に出来るようになっていたらいいですね。
6 ロングトーンでの音階練習
出しやすい音から高い方へやってもいいし、低い方へやっていってもいいです。
ここまで出来たら、音符を細かく吹くリズム練習にしてもいいし、スケール(音階)練
習してもいいですね。
毎日、15分程度でもいいので続けるのが大事です!
よりよい音楽づくりのために・・・
夏のコンクールで後悔しないために・・・
ロングトーンぜひやってください。
Comments