【質問】
吹奏楽コンクールについて質問です。 県大会に出場することになったのですが、やはり出演順は少なからず賞に関係するのでしょうか?
最初の学校と最後の学校が同じぐらいの上手さだったらやっぱり最後の学校の方が上になるのでしょうか?
もし関係するなら、なぜ出演順が賞に関係するのか教えて欲しいです。
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【回答】
一応、建前では出演順は審査には関係がないことになっています。
私は地区大会ですが審査員やったことがあり、また事務局やってましたから審査員の先生方とその件で何度かお話を聞いたことがあります。
やはり1番は不利と審査員のどの先生もお考えです。
理由としては特に初めてその県の審査員をされる先生はその県のレベルをご存じありません。
そのため1番の学校を基準に優劣・上下を付けていくことになります。
だから、多くの審査員の先生方は講評だけ書いておいて、3校くらいまで聴いてから点数を付けると仰っておられました。
事務局でしたので点数の集計を行います。
そこで感じるのは午前中は点数がやや辛めです。
午後の休憩前くらいはちょっとだけですが点数少し甘いんじゃないかなぁと感じることは度々ありました。
休憩後はまた戻る感じがあります。
なので、
一番点数が辛いのは出演順が早い3番くらいまで
一番点数が甘いのは午後の休憩直前
ということは言えなくないです。
甘いとか辛いとか言っても審査員全員でそうなるワケではないですし、そんなに個々の審査員の先生の規準が5付けてもよい演奏が3以下になってしまうとか、1付けてもよい演奏が3以上になるとかまでの揺らぎと言うか乱れることはまずありません。
言葉に出来ませんし、目には見えないんですけど、それぞれの審査員の先生方の中には規準になるモノサシがあります。
これは審査員してみるとわかります。
出演順が点数や審査に全く関係ないとは言えませんが金賞が銀賞になってしまうほど、大きく関係するとも言えません。
その理由として
①審査員は必ず5名以上であること。
②上下カットを取り入れている支部や県が多いこと。
③金銀銅の決定は全出場校の得点を点数順に並べて上から概ね3対4対3の割合で決めていること。
④代表校の選出は金賞受賞校の中から審査員全員の投票によって行われること。
の4つが挙げられます。
①複数の審査員で審査をしますから、1人の審査員がある特定の学校を依怙贔屓してもそんなに審査には影響しないし、極端に他の審査員と点数が違うとおかしいと後で言われます。
そういう審査員は次回から呼ばれなくなります。
それに関わって②
上下カットを取り入れている大会が多いので余計に1人の審査員の好みが審査には影響しずらくなっています。
上下カットとはシンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング)やスキージャンプの飛形点などで1番高い点数を付けた審査員の点数と1番低い点数を付けた審査員の点数をカットして、他の審査員の点数を合計したものを得点する方法です。
例)
7名の審査員で審査をするとすると2名の点数はカットされます。
審査員A92点
審査員B85点
審査員C82点
審査員D78点
審査員E83点
審査員F85点
審査員G80点
だとすると一番高い点数を付けた審査員Aの92点と一番低い点数を付けた審査員Dの78点はカットされ、なかったことにして他の審査員の点数を合計します。
するとこの学校の点数は
415点となります。
こうすることである審査員が故意に特定の学校を忖度したり、差別したりしたとしても審査に影響しないようにしています。
審査員全員が買収されるとかしてたら審査ひっくり返りますが、そのような事件が起こったことは1度もありませんし、あり得ないと思います。
この上下カットによって、出演順が点数に若干、影響したとしても大きく審査に影響することがないようになっています。
③により1点程度の違いが金賞になるか銀賞になるか、あまり影響しないようになっています。
3割以内であっても極端に点数が離れていたら金賞と銀賞に分かれることはあります。
ましてや金賞になるべき学校が銅賞だったとか、銅賞になるべき学校が金賞になるとかいうような大どんでん返しが起こるようなことは絶対にありません。
④代表選出は投票なので必ずしも点数が影響するとは言えません。
投票も一回で決めたりせず、複数回行う方法を取ることが多いですから、出来るだけ1人の審査員の意向が影響しないようにしないようにしています。
でも全く出演順が影響しないとも言い切れないのも事実です。
私の感覚でも1番の学校は午後の出演の学校と比較して、そんなに悪くなかったのに銅賞になってたということはよくありました。
逆に午後の出演順の学校で銀賞だった学校でもしも午前中の最初の方だったら銅賞だったなと思う演奏はあります。
でもやはり金賞は金賞なんですよ。
上手くもない演奏に審査員は高い点数を簡単に付けたりしないからです。
高い点数を付けるのはとても慎重になさる審査員の先生方がほとんどです。
かなり気を引き締めて付けてます。
ただ先生方ご自身が優れた指導者だったり、演奏家ですから演奏に対して厳しいので、逆に低い点数は遠慮なくバシバシ付ける審査員の先生もおられます。
早い出演順の学校や1番の出演順の学校が金賞を取りにくいということは言えるかと思います。
でも本当にその1番の学校が上手かったら、後から演奏する学校よりもインパクトはありますから、先生方の記憶に残ります。
そういう意味で同じくらいのレベルであれば先に演奏する方が有利と言えなくもないのです。
ここまで書いてきたように吹奏楽連盟では出演順が不利にならないように審査方法を考えてきたんです。
あまり不利とか有利とか意識せず、実力を発揮出来るように朝一番でもベストコンディションに持っていかれるようにしてください。
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